新人教育で使える基礎知識「バランス麻酔」

手術室新人さんへ

全身麻酔

新人教育で挿管介助をしていた時に、新人さんとプリセプターと一緒に雑談で全身麻酔の薬、麻酔導入の流れについてお話をしていました。

先輩看護師
先輩看護師

全身麻酔の基本的な考え方はバランス麻酔だよね!プリセプターさん新人さんに説明してあげて!

後輩
プリセプター

薬の本は読んだ事があるけど、説明するのはちょっと出来ないです。

プリセプターの代わりに全身麻酔の基本でバランス麻酔と使用する薬について説明しました。
ビックリしましたが、この時、3年目の人でもちゃんと理解していないこと知りました。
手術室集合新人教育でプリセプターに『全身麻酔の基本』を行う必要性を感じました。

麻酔とは、痛みや刺激などの侵襲が加わっても痛いと感じない状態の事をいいます。

全身麻酔は方法に多くの選択肢があり、術式や患者の状態を考慮したうえで麻酔方法が選択されています。以下の選択肢があります。

  1. 導入方法や気道確保の方法
  2. 麻酔維持の方法
  3. 筋弛緩薬使用の有無
  4. 疼痛管理方法

今回は、全身麻酔の基本的な考え方のバランス麻酔、麻酔導入の流れ、拮抗薬について説明したいと思います。

全身麻酔薬とバランス麻酔

【全身麻酔の基本】バランス麻酔

全身麻酔は,①意識の消失,②無痛,③筋弛緩,④有害反射の抑制の4要素が必要です。

意識を消失させる麻酔薬,痛みをコントロールする鎮痛薬,さらには筋弛緩薬の3つの薬剤を組み合わせて適切に維持するバランス麻酔が主流になっています。

これらの①鎮静②鎮痛③筋弛緩の3つの要素がバランスよく発揮される薬があればいいのですが、単一の薬剤で、全身麻酔に必要な条件をバランスよく満たすパーフェクトな薬はまだ存在していません。現在使用されている吸入麻酔薬や静脈麻酔薬は、 単独でも高濃度で使用すれば、中枢神経を強く抑制して痛み刺激を抑制することもできます。しかし、循環抑制作用が強くなったり、覚醒が遅延したりするなどの不利益が生じてしまいます。

そこで現状としては、それぞれ鎮静剤、鎮痛剤、筋弛緩剤それぞれ単体を組み合わせて使用するという形で使われています。

もし、上手くバランス麻酔が効いていない場合どのような状態になる?

安全な麻酔のために

  • 無痛である事
  • 意識の消失
  • 筋弛緩状態である
  • 有害な自律神反射(頻脈、高血圧、不整脈)がない

の4つの要素が大切ですが、最も大切な条件として可逆的(一度起きた変化がまた元に戻ることができる)であるという条件が必要です。よく麻酔科医が『リバースしよう』と言っていると思います。リバースは「元に戻す」という意味なので拮抗薬を使用する=リバースすると同じ意味です。そのため、全身麻酔に使用する薬は、投与を終了したら効果が切れるのが早い(レミフェンタニル、プロポフォールなど)か、拮抗薬がある薬が使用されています。

主な拮抗薬

拮抗薬を使用するのに気を付けないといけないのは、使用した薬剤の持続時間よりも先に拮抗薬の効果が切れた場合は、再度麻酔薬の効果が表れてしまう事です。

例えば、ドルミカムの効果は80分です。覚醒が悪いのでアネキセートを使用したとします。その時はドルミカムが拮抗され患者さんが目覚めます。病棟に帰室した後アネキセートの効果が先に切れてしまった場合、再度ドルミカムの効果が表れ患者さんが入眠したり、呼吸抑制が起こる可能性が有るということです。使用するタイミングが重要になります。

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