筋弛緩薬の拮抗薬は2種類あります。
アトワゴリバース®とブリディオン®です。
昔からある筋弛緩薬の拮抗薬は「ワゴスチグミン®」です。
ワゴスチグミンは、副作用にコリン作用(徐脈や気道内分泌増加)があるため、ムスカリン性アセチルコリン受容体遮断薬の硫酸アトロピン®と混ぜて使用していました。
その後2008年にテルモからネオスチグミンとアトロピンの2剤がシリンジに充填された「アトワゴリバース®」が発売されました。アトワゴリバースが発売された時は、在庫のワゴスチグミン®があるにも関わらず、麻酔科医はみんアトワゴリバースを使用するほどの大人気でした!!
2年後にブリディオン®が発売されたときは、麻酔科医はみんなブリディオン®を使用してあっという間にアトワゴリバースの人気は、ブリディオン®に持っていかれてしまいました・・・。
現在は、ブリディオン一択になっています。
人気者のスガマデクス(ブリディオン®)はどのような薬なのか?
効能効果
ロクロニウム臭化物又はベクロニウム臭化物による筋弛緩状態からの回復
作用機序
MSD製薬ホームページより引用
・スガマデクスの基本骨格は単糖類がドーナツ型に 8 つ環状結合し分子中央は空洞化しており, その側鎖にはカルボキシル基が結合しています。
・スガマデクスはロクロニウムやベクロニウムに対して選択的に直接1:1 の「抱接体」を形成することで不活性化し,ロクロニウムがニコチン性アセチルコリン受容体に結合できなくします。
・これによりロクロニウムが終板のニコチン性アセチルコリン受容体 から解離し,筋弛緩効果から迅速に回復します。
薬物動態
・スガマデクスは、ロクロニウムやベクロニウムとの包接複合体は体内で代謝されずに,約 90%が 24 時間以内に尿中排泄されます。
・健常患者における排泄半減期は 2~3 時間です。
・尿中排泄のため腎不全患者では排泄半減期は 35時間と著明に延長します。
スガマデクス(ブリディオン®)の凄いところ
・筋弛緩程度によって投与量を調整すれば、投与後1~2分で完全拮抗が可能だと言われています。
・投与量を増やすことにより、深い筋弛緩状態も拮抗することができます。
・ネオスチグミンメチル硫酸塩とは異なり、アセチルコリンを増やさないため、それに伴う合併症がないです。
スガマデクス(ブリディオン®)の欠点
・ブリディオンは薬価が高いです。200mgで9,947円、500mgで21,480円となっています。
・アトワゴリバース静注シリンジは3mLが414円、6mLが619円です。
ブリディオンはアトワゴリバースの約20倍以上のお値段になっています。
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