プリセプターがぶつかる新人教育の壁「教えるのが難しい3つの要因」

新人教育

昨年、ファーストレベルを受講した時に一番印象に残った講師の言葉は、『私たちは看護師の教育を受けてきたので、看護師の知識や技術はあります。小学校、中学校、高校と子供の頃から人から教えてもらうことには慣れています。でも人に教える、人を育てるという教育を受けていないので、教えるための知識や技術はありません。』と言われ衝撃を受けました。確かに!!今まで試行錯誤しながら後輩育成をしていましたが、教わったように教えていただけでその方法が良いのか、悪いのかもよく分かっていないことに気が付きました。

初めてプリセプターをする人が新人に指導をしながら「教えることが難しい」と壁にぶつかるのは当然のことだと思います。その要因を3つ紹介します。

「教えるための」知識と技術がない

73歳まで現役で国語教師として活躍された大村はまさんは、上手に教えるためにはそのための知識と技術が必要であることを繰り返し主張しています。

「教師としては、人を育てる能力、教師の教師たる技術を持っていなければ困ります。たとえば、お話一つとっても、魅力的に話せる、騒いている子供たちが耳を傾けるようなお話が出来なくてはならないのです。情熱と愛情、それだけでやれることは、教育の世界にはないんです。」とおっしゃっています。

熱心や愛情などの想いは、どのような仕事を進める上でも重要な基盤です。しかし、専門的な仕事はそれだけではやってきません。看護も専門的な知識や技術が重要なように、教育においても専門的な知識や技術が重要なのです。

仕事をしながら教えること自体がハイレベル

新人教育は、入社してすぐは集合教育がメインになるため患者さんとは直接関わらず、座学や演習がメインになるため、みんなと楽しく行えると思います。
しかし現場教育になると、実際に自分が手術介助に付きながら新人さんに説明するという「看護と教育を同時に実践する」ということになります。教育はそれ自体が難しい活動ですし、それを看護と同時に実践することは容易なことではありません。実際、教育を担当する看護師は悩みを抱えている人が多いそうです。

自分の仕事をこなしながら後輩を教育することは大変なことですが、この課題を乗り越えることが、自分の成長につながるチャンスとなります。経営学者のドラッカーは「看護婦の成果を向上させる最善の道は、新人の看護婦に教育させること」と記しています。

他人に理解してもらおうと工夫して教えようとする過程や、教えるために復習して学習をやり直す過程で自分の思考が明確になっていきます。

手術が中心で教育が後回しになる

新人さんが一番学びたいときや記憶に新しいときに教えたり、実践させてあげたりすることはとても有効的ですが、実際では手術と患者さんの安全が第一に優先されるため、看護師の教育は後回しになる場面が多々あります。状況によっては、新人さんが質問してきても回答できない時もあると思います。極端な例えですが、大量出血している時やアナフィラキシーショックを起こしている時にせっかくの良い教育場面だからと、輸血の取扱い方を教えたり、お薬の説明をしたりと、新人看護師に仕事を覚えさせたるために、患者さんの生命を脅かしたり、苦痛を与えたりすることはあってはなりません。教育は後回しになってもよいという事ではありませんが、状況を考え落ち着いたときに忘れずに教育を進めることが必要となります。

最後に

新人⇒看護の現場で必要な知識や技術を習得する段階。

プリセプター⇒後輩を育成するための人を育てる能力を身につける段階。

だということを自覚して、初めから上手くできないのは当たり前なので謙虚な気持ち自分も学ばせてもらっている思いながら精進することが大切だと思います。

いろいろ悩み、医師に怒られたり、先輩や上司や同期に相談したり、書籍を読んだりと試行錯誤するなかで自分も看護師として、人として成長でき尊敬される先輩看護師へ成長できるのだと思います。

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