後輩と一緒に手術に付いている時にどこまで知識があるか確認するため色々質問します。
人工心肺はどのような働きをしているか分かる?
はい!血液を酸素化して身体にもどしています。
心筋保護液はどのような目的で使用する?
ベントはどのような目的で入れてる?
・・・・。心筋保護液?ベント?・・・。
後輩は人工心肺の概要はあらかたは知っているようですが、人工心肺を回すため必要な、心筋保護液、ベント、CO2挿入の目的を調べていない後輩が多いです。15年前は分かりやすい看護師向けの書籍は少なかったし、インターネットで調べてもWikipedia:ウィキペディアくらいしかありませんでした。いまでは分かりやすい書籍あるから自己学習してくれたらいいのにな・・と毎回思います。
心臓の手術に人工心肺を用いるのはなぜか?
心臓や胸部大血管の病変に対して、無血の手術野で直視下に手術を行うためには心臓や大血管の血流を遮断しなくてはならなりません。その状況を安全に作るには、心臓と肺の機能を人工的に代行し、血液を体外で循環・維持する装置が必要です。その代行する装置が人工心肺です。
心臓の手術を安全に行うためには、以下の3つの条件が求められます。
① 静止野:心臓が動いている状態では手術は難しい.
② 無血野:視野を確保する必要から心臓内の血液がない状態にしたい.
③心臓以外の全身への循環:心停止中の他臓器を保護するため,全身に血液を送る必要がある.
静止野・心臓以外の全身への循環
・心臓を止めなければならなりません。一般的に3~5分程度で心停止で脳に不可逆的な障害が起こり始めます。手術中の血液循環を維持する必要があり、その方策の1つが人工心肺を用いる(人工心肺法)になります。
・心停止させた心臓は、再び拍動させなけらばなりません。その為、止める方法と心筋保護が重要になります。
無血野
・心臓内操作中、心臓に血液が流入しない状態を維持する事が求められます。
・心停止にする事が最も簡単でり人工心肺法の存在が大きいです。
人工心肺の基本システム
人工心肺の基本システムは以下のような一連の血液循環を導くものです。
心臓に灌流する血液を静脈系から脱血で体外に排出し、静脈血に酸素を加えて動脈血化して動脈系に送血して体内に戻すことで、全身の臓器・組織・細胞までに血液(酸素)を送り届きる事です。
この人工心肺が確実に施行できてこそ、心臓の手術が安全に行う事が出来ます。
人工心肺回路
人工肺(熱交換機)
・人工肺は体外に脱血された静脈血に酸素付加と炭酸ガス除去を行うもので、生体肺のガス交換機能を人工的に代行する装置です。
・通常、熱交換器が内蔵されており、冷温水槽より水を熱交換器に循環させることにより血液の温度を変化させ体温を調整します。
貯血槽(リザーバー)
・静脈血貯血槽と心内貯血槽が一体となっており、一時的に血液を貯留することで送血側へ空気を送らず、輸液や輸血、薬剤を当初する場所となる。
・静脈血貯血槽は、脱血管から脱血した静脈血を貯血。引き込まれてくる空気や血液凝集物を除去するため、除法網やスクリーンフィルターが組み込まれています。
・心内貯血槽は、心腔や心嚢内の血液を吸引し貯血。血液に混入されてくる組織片や血液凝固集物、異物などを除去する不織布とフィルターが組み込まれています。
送血フィルター
・送血フィルターは人工心肺回路内に混入した異物を除去を目的としています。同時に気泡を捉える機能を持っています。
・送血フィルターが人工肺に内蔵されたものもあります。
人工心肺の付属構成
・吸引回路:心嚢内・心腔内の血液を吸引し、無血視野を確保。体外循環回路にもどし再利用する
・ベント回路:心腔内に灌流する血液を抜き心臓の過伸展の予防や容量負荷を取り除き回復を促す
人工心肺の基本「ベント・CO2カニューレ」
・心筋保護回路:大動脈遮断における心停止ならびに心筋の保護を行う
人工心肺の基本「心筋保護液注入ルート」
・血液濃縮回路:血液希釈と循環血液量のコントロールを行うため血液濃縮器によって余剰水分の除去を行います。体外循環には血液希釈を併用しますが、あまり高度になりすぎると酸素運搬能の低下や、それに伴う代謝性アシドーシス、血液膠質浸透圧の低下、毛細血管透過性亢進、全身浮腫などさまざまな副作用があります。
・脳分離送血回路:大動脈弓部置換術における超低体温体外循環停止時に、脳保護の目的で血液灌流を行う。腕頭動脈、左総頸動脈、左鎖骨下動脈の3枝に脳循環カニューレで送血する。
・その他:体外循環を支援するモニター類(レベルセンサー、バルブモニター、圧モニター)など
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