2019年1月よりEDWARDS INTUITY Eliteバルブシステム」(エドワーズインテュイティエリートバルブシステム)必要なトレーニングを受け, 厚生労働省の定める施設基準を満たす医療機関に向けて発売されました。患者自己弁輪へステントによる 圧着固定をする事で人工弁の縫合操作が今までよりも簡単にするこを目的としています 。 今までの人工弁よりも 大動脈遮断時間や体外循環時間を短縮 することができ 、手術成績を向上させることが期待されています。
【臨床試験の結果】
スーチャーレスAVRってどんな手術?
自己弁輪に3ヶ所糸かけをして、バルンを拡張すると生体弁のフレームが拡張し留置します。
普通の人工弁と何が違うの?
普通の生体弁の下に金属のフレームが付いており、フレームを拡張する事で左室流出路に圧着させて固定が出来るようになっています。
適応や禁忌はあるの?
【適応】
大動脈弁狭窄症(AS)
【禁忌】
- 大動脈弁閉鎖不全症(AR):人工弁が適切に固定されない可能性がある
- 大動脈基部又は上行大動脈瘤の患者:瘤がさらに拡大化する可能性があるため
- 金属アレルギー(コバルト、クロム、ニッケル、モリブデン、マンガンなど)
- 天然ゴム過敏症のある患者:原材料には含まれていないが、製造工程で触れている可能性があるため
必要な機械や診療材料は?
・2-0エチボンドなどの編み糸、針は20mm以下でスパやフェルトの付いていないもの
・小児用のネラトンターニケット
・デンタルミラーor 内視鏡セット+5mm光学視管(2020.11使用しなくなりました。)
どのような手順なのか?
EDWARDSの説明動画(英語バージョン)です。イメージが出来ます。
弁尖切除し、石灰化の切除までは通常のAVRと同じ手順です。
-
- 専用のサイザーで弁輪径のサイジング
- 自己弁輪に3ヶ所糸を掛ける。
- 人工弁のマーキング部分に先ほど掛けた糸針を掛ける。
- 人工弁を自己弁輪へ降ろす。
- 人工弁がしっり降りている事を確認する。(メーカーは推奨していないが内視鏡+光学視管5mmを使用し確認を行う事がある。)
- 先ほどの糸にネラトンターニケットを行い、弁が動かないように固定する。
- インフレーションデバイスでバルンを膨らませて10秒保持し、圧着させる。(弁留置)
- メス11でホルダーの糸を切りホルダーを取り外す。
- 掛けていた3ヶ所の糸を結紮する。
術後気を付ける事は?
縫合操作が簡便化されたことにより、留置不成功、術後における弁周囲逆流や人工弁の移動 、それらに起因する再介入治療のリスクは従来の人工弁よりも 潜在的に高くなると考えられています。
どうして術後ブロックになる可能性があるの?
左室流出路の近くに刺激伝導系の房室結節があります。
INTUITY Elite弁は、TAVI弁のように人工弁の下側には左室流出路に固定する為の金属のフレームが付いています。人工弁を留置する事で金属のフレームが房室結節を石灰化で圧迫したり、損傷する可能性があります。その事により術後ブロックになる事があると考えられています。ほとんどは、留置直後に出現しますが、遅発性のものも存在さるため48時間は心臓モリタリングを継続した方良いと言われています。
①術前の右脚ブロック
②弁の低い位置の留置
③大動脈弁下の石灰化
手術介助についての感想
手技に慣れたら時間短縮になるのかもしれませんが、慣れるまでは今までのAVRとあまり変わらない印象でした。人工弁を留置する位置の確認するのに時間がかかったり、人工弁しっかり降ろす手技でてこずると大動脈壁が裂けていき大動脈を閉鎖するのに時間がかかる事もあります。慣れたら時間が短縮されるのかもしれません。個人的な感想ですが、人工弁がしっかり降りているかを確認するためだけに内視鏡と5mmの光学視管を準備するのが面倒です。メーカーも推奨していませんし・・・。
コメント