はじめに
処置目的の中等度鎮静ガイドライン(ASA-SED2018)で重要な項目に『鎮静担当者の確保』という項目があります。麻酔科がスタンバイしていない時の鎮静担当者は、看護師になます。
鎮静担当者に求められる能力は、『鎮静薬、鎮痛薬、拮抗薬の薬理学に習熟』『無呼吸や気道閉塞の把握および迅速な救護気道能力』となっています。そうなると、新人さんが鎮静手術の外回り介助につくのは難しいと改めて思いました。そして、新人看護師じゃなくても予想していた深度よりも深くなった場合は、全身麻酔時の危機対応と同じ能力が必要になるため、看護師が全ての対応ができるわけではありません。看護師に求められる必須能力は以下のことだと思います。
- 異常に気付くこと
- 初期対応を行うこと
- 応援を呼び麻酔科医へつなげること
上記のことをふまえて、看護師が出来ることを具体的に考えてみます。
1.緊急時の準備器具をしっかり準備する
鎮静・鎮痛における緊急時の準備器具の一覧表
見て通り準備する物品は全身麻酔と同じ準備になるため、結構な物品と薬品が必要になります。
私が鎮静手術の外回り介助につくときに準備する物リスト
- 麻酔科医が使用する麻酔科カートと薬品ケースの準備
- 酸素投与の準備
- アンビューの準備
- 麻酔器がすぐに使用できる位置に配置する。蛇管、バックをセットする。
- 除細動機がすぐ使える状況にあるか、定位置にあるか確認する
2.しっかりモニタリングをして異常に気付く
・パルスオキシメトリー(酸素化)、心電図、血圧計、カプノグラフィー(呼気二酸化炭素)のモニタリングを必ず行います。
・米国麻酔科学会がカプノグラフィーの使用を強く推奨する理由
CO2は一呼吸毎に測定しているため呼吸が停止すれば即座にモニタに反映します!そのため、早い段階で処置できるためです。SpO2だけでは、酸素投与しているとSpO2はすぐには変化しないため低酸素の発見が遅れます。
カプノグラフィー(CO2)モニター、パルスオキシメトリー(SPO2)、ECGモニターで異常値が表示される時間の違い
マスクで酸素投与している時のカプトグラフィーの装着方法
3.身体所見を観察して異常に気付く
・「口頭指示に対する反応」があるか声掛けをして確認する。
・換気に対する視診を観察する。胸とお腹をみて呼吸できているかを確認する。
よく分からない時は鼻と口の近くにティッシュを近づけて呼吸の風で揺れるかを確認する。
4.舌根沈下した時は、頭部後屈顎先挙上や下顎挙上を行う
看護師でも出来ることなので、最低限出来るようにする。
5.無呼吸になった時はアンビューで呼吸の補助を行う
看護師でもできることなので行いますが、この状態までなっている時は、すぐに麻酔科医へ応援を要請し対応してもらうことが大切になります。
麻酔科医は、ラリンジアルマスクを挿入することが多いので、高度な気管管理器具の準備と麻酔器にすぐ接続出来るように、麻酔器の準備を行います。
以上が私が考える鎮静手術の外回り介助につく看護師が出来ることだと思います。
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