新人さんの早期退職を回避するために

新人教育

配属は希望通りの人もいれば、希望は叶わず違う全く違う場所に配属された方がいると思います。手術室は病棟と仕事内容が全く違うため、希望ではなかった人には悲劇に感じる人もいると思います。しかし、希望だから退職しないというわけではありません。当院では、手術室希望の新人さんの方が離職しやすいと言われています。私の同期も手術室希望していなかった人が10年以上続き、希望だった同期は1年で辞めてしまいました。そのため、希望か希望ではないかだけでは退職するかしないかは分からないと思います。大切な新人さんが退職せずに続けれるような支援方法を考えていきたいと思います。

新人看護師の離職率

・日本看護協会が発表している情報では,2016年度の新人看護師の離職率は平均して7.6%でした。近年は7%台後半を推移しており,大きな変動はありません。規模別では、500床以上の大病院が6.6%に対して,99 床以下の小病院では12.4%で2倍の開きがあります。

手術室離職の理由

・想像していたのと違った。
・看護がしたいので病棟に行きたい。病棟での看護がしたい。
・医師や先輩からの指導が厳しい。
・急性期病院で忙しい勤務状況のため、知識や技術の習得が遅れていくことでの自信の喪失。
などがあるそうです。

早期離職した新人看護職員の心理過程

早期離職を決意するサイン

新人看護師が『先輩看護師』『同僚』からこれらの支援を受けるには,ある程度人間関係を構築する必要があり,『同期』『先輩看護師』『同僚』も人である以上は,必ずしも新人看護師にとって肯定的な存在とは限りません。48%の新人看護師が同僚など職場でのいじめや悪意を受けている現状もあると言われています。早期離職した新人看護職員の心理過程では、先輩看護師との関係性の悪化と心身バランス崩壊であることがわかる。すなわち、新人看護職員の心理過程として、新人看護職員と先輩看護職員との関係性の悪化を経て心身バランス崩壊が早期離職を決意するサインである可能性があります。

新人看護師のリアリティショックとは

新人看護師が就職した際に感じるストレスの中で,自分がこれまで実習等で経験したことと現実との乖離によって生じるストレスを総称してリアリティショックと呼ばれており、職場不適応の原因とされています。
日本看護協会の調査では新人看護師の職場定着を困難にしている要因の一つに,リアリティショックが指摘され、新人看護師のキャリア初期に否定的な影響を与えているといわれています。
またリアリティショックが原因で,疲労感や頭痛,不眠胃部不快などの身体症状や,気分の不安定さや抑うつ等の精神症状,自尊感情の低下などが引き起こされ,さらにはバーンアウトに結びつく危険性も指摘されています。バーンアウトとは,心的エネルギーが絶えず過剰に要求された結果,極度の心身の疲労と感情の枯渇を主とする症候群です。

新人看護師のリアリティショックの要因

新人の看護師が実際の職場で思わぬ苦痛を感じることになり,身体的・心理的・社会的にさまざまなショック反応を表す現象といわれています.新卒看護師のリアリティショックに関する研究では,リアリティショックに影響する要因として①「看護技術」②「職場の人間関係,③「教育面」④「事務的業務」⑤「患者および家族への対応」⑥「勤務形態」の6 つの因子があげられています。

新人看護師がリアリティショックに陥っていると思われる時期

・3カ月時が65,2%
・6カ月時が46.4%
この時期は,一般的に新入社員が退職を考える時期とされる5~6カ月と一致しています。

離職を防ぐ要因

【精神面】
・離職に対する冷静な判断と貫き通す信念。
・1年目で仕事を辞めることは,自分に負けることであり,自分に負けたくない,負けないという意地と自分自身の中にある信念
・どこで働いても1年目は耐えの時期で,辞めても同じことを繰り返すことになるという現状を冷静に受け止めていたこと
【他者から受ける支援】
・先輩看護師・同期と話せたこと
・同僚も自分と同じ状況にあると感じたこと
・同期との悩みの共有とお互いの高めあい
・プリセプターと先輩の存在が挙げられている.良くも悪くも影響している.

人看護師の離職に繋がる要因

・先輩たちへの気兼ねと恐怖心
・同期に対する劣等感と自己の未熟さの認知

学習プロセス認知的4段階新人看護職員の早期離職に繋がる問題の段階場所

臨床の現場では常に先輩看護職員が新人看護職員へ指導するという教育体制が取られているため、認知的徒弟制が取られています。認知的徒弟制とは、親方(熟達者)と弟子(学習者)の間で古くから行われてきた徒弟制の職業技術訓練から、その学習プロセスを認知的な観点から4段階に理論化したものです。この4段階のステップを踏むことで、効果的かつ効率的に知識・技能の修得・継承ができると考えられています。
①モデリング:熟達者が学習者に模範を示し、学習者はそれを観察して視覚的に把握する。
②コーチング:熟達者が学習者のレベルに合った課題を与え、助言を与えながら模範の通りにできるよう指導する。
③スキャフォールディング:学習者が自分自身でさらに上達できるための支援を行う。
④フェーディング:熟達者は学習者が独り立ちできるように少しずつ関わりを減らし、退く。
これらの認知的徒弟制は、多くの場所で行われて効果がみられています。
新人看護職員の早期離職に繋がる問題の段階場所として考えられるのは、②コーチングの段階です。この段階がうまくいかず、時間を要することで先輩看護師との関係性が悪化し、新人看護職員の心身バランスを崩壊させる原因となっているとこが考えられています。
②コーチングの段階が進まないことによる先輩看護職員の焦りが新人看護職員を追い詰め、追い詰められた新人看護職員は更に「できない自分」を責めて、心身バランスを崩壊させていくことが考えられます。

まとめ

新人教育担当者は、新人側にやる気もなく能力も低いからだと一刀両断せず,教育担当する側のアプローチにも問題があるかもしれない,という考えていくことが必要だと思います。
新人看護師は,学生から専門職者への役割転換の段階にあります。この時期は,新規参入者として必然的に実践力の未熟さに気づき,リアリティショックを抱えながら看護師として組織社会化の一途を歩みます。6ヶ月まではリアリティーショックに陥っている可能性がある事から、その事を理解したうえで関わっていく事が必要だと思います。また、人間関係の破たんにより早期退職の可能性が高くなることを踏まえ、同期との関係、プリセプターとの関係、指導者との関係を注意深く観察し上手くいってない時は、上司に相談し早期に対応出来るように支援してく事が必要だと考えます。新入社員が上司や先輩などからの支援として、
①業務支援:業務に関する助言指導を行う。
②内省支援:仕事のあり方を客観的に折りにふれて振り返らせることを可能にする。
③精神支援:精神的な安堵を提供する。
上記の支援を新人さんへ行えるようにプリセプター教育も必要だと思います。
大切な新人さんが無事に成長出来るように、新人教育担当者として成長していけるように努力しようと思います。

 

 

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