はじめに
プロポフォールは、なにかと話題になりやすい薬剤です。
芸能関係だと、マイケルジャクソンが亡くなった薬剤だし、韓国の芸能人で使用している人が多く問題になっています。医療関係でも、小児の医療事故などでよく話題になっています。
一般的にも有名なお薬ですが、医療の現場ではよく使用されるメジャーなお薬なのでまとめました。
適応と薬理作用
全身麻酔の導入および維持、集中治療における人工呼吸の鎮静。
催眠作用、鎮静作用が主であり鎮痛作用はありません。
作用メカニズム
残念ながら、詳細な作用メカニズムは解明されていません。静脈内投与により、急速に中枢神経系にあるGABAA受容体などの中枢神経系に結合して神経伝達を阻害する鎮静薬です.投与開始後速やかに作用が発現し、投与された患者は10数秒で意識を失います。
投与中止すると、それまでの投与速度、投与量によりますが10分前後で意識が回復し刺激に応じて開眼します。
禁忌
・小児:ICUでの人工呼吸器中の鎮静は、プロポフォール症候群を起こす。術中は禁忌ではない。
・妊産婦:胎児や母乳へ移行するため
投与注意
・卵、大豆アレルギー:添加物に大豆や卵黄成分を含むため
特徴
・蓄積が少なく、鎮静深度の調整も良好
・脳保護作用がある
脳血流が50%減少し、酸素供給量が減少させ、脳圧を低下させることで脳保護効果があります。
・抑吐作用がある
・注入時の血管痛が強い
注意が必要な患者さん
・高齢者、高血圧、心疾患を持つ患者さん
⇒副作用の血圧低下が強く発生するため
過量投与により引き起こされること
プロポフォールを過量投与すると呼吸抑制を引き起こします。また、血管緊張を低下させるので、血圧低下を引き起こします。プロポフォールによる麻酔は通常、投与中止により10~20分で覚醒します。しかし、前投薬や術中併用薬により覚醒までの時間は異なるので、覚醒、呼吸、血圧を十分に観察する必要があります。
まとめました

看護師管理の鎮静手術時の投与量はどうなる?
残念ながら米国麻酔科学会の「処置目的の中等度鎮静ガイドライン(ASA-SED2018)」には、投与量や投与間隔を推奨していないため、麻酔導入と麻酔維持の量が使用量ということになってします。そしたら、麻酔導入になるし、中等度どころか全身麻酔!それって深すぎ!!と思っていました。
ASA-SED2018とは別に処置時の鎮痛・鎮静(Procedural Sedation and Analgesia:PSA)というERや内視鏡室・病棟での処置時における鎮静や鎮痛があります。PSAでも麻酔深度を「中等度~深い鎮静」を目指すことが一般的だそうです。そしたら、ASA-SED2018と一緒じゃん!と思いました。そこでPSAで提示されている投与量と添付文書の投与量には違いがあるかを検証してみました。

50kg成人で計算してみました。
【全身麻酔の場合】 添付文書上の維持量は4~10mg/kg/時なので、20~50ml/時となります。これは完全に眠らせて呼吸管理を行う量です。
【鎮静(PSA・ICU)の場合】 鎮静目的(自発呼吸温存)の場合は、一般的に0.3~3.0mg/kg/時程度でコントロールします。 計算すると 1.5ml/時 ~ 15ml/時 程度となります。
・初回は少量(2~3mlなど)から様子を見て
・持続投与は 5~10ml/時 程度から開始し深度に合わせて増減
というのが現実的なラインかと思われます(※患者さんの年齢や全身状態により大きく異なります)。
体重別プロポフォール持続投与量

【重要】この表を使う上での注意点
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個人差が非常に大きい薬剤です:上記はあくまで計算上の目安です。高齢者、心機能が悪い方、全身状態が悪い方では、表の「鎮静領域」の下限よりもさらに少ない量(例:1.0mL/時など)で十分な鎮静が得られる(あるいは効きすぎてしまう)ことが多々あります。
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タイトレーションが原則です:最初から計算上の目標値で固定せず、少量から開始し、患者さんの鎮静深度、呼吸状態、血圧を見ながら細かく流量を調整(タイトレーション)する必要があります。
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鎮静と麻酔の境界線:表を見ると、例えば50kgの人では鎮静の上限が15mL/時、麻酔の下限が20mL/時となっています。この間の「15~20mL/時」は、非常に深い鎮静~浅い麻酔のグレーゾーンであり、容易に呼吸が止まる領域であることを認識しておく必要があります。


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