2020年8月にアネレムが販売されました。みなさんの病院では使用されていますか?
当院では2020年12月に院内で採用され手術室に置いていますが、まだ使用している麻酔科医師はいません。
採用された理由が時代を反映しています。プロポフォールを作っている工場の従業員がコロナ感染で人員が足りなくなり、通常稼働が出来なくなり品薄状態だそうです。そのため、代替品として採用されました。コロナでこのような影響が出るのだと驚きました。
現在20mlは納品されなくなりましたが、50mlやディブリバンキットは残っています。しかし、プロポフォールが全く納品されなくなったら使用するようになると思うので勉強することにしました。
基本情報
販売名;アネレム静注用50mg
一般名;レミマゾラム
薬価・規格:2218円(50mg1瓶)
適応:全身麻酔の導入及び維持
アネレムの特徴
1.超短時間作用型ベンゾジアゼピン系の静脈麻酔薬(ミダゾラム(ドルミカム®)と一緒の系統)
2.ミダゾラムにレミフェンタニルの構造の一部を組み込み超短時間作用性にしたもの
3.超短時間作用性になったことで持続静注でほぼ一定の濃度を維持することができるようになった
4.ミダゾラムと近似した化学構造で両者の薬理作用に大差はないが、ミダゾラムと同じく血圧や心拍数などの循環指標の変動は少ないため、麻酔導入直後の血圧低下の頻度を減らし,麻酔維持における循環動態を安定させることが期待できる。
5.導入1~2分で入眠し、半減時間はプロポフォールと比べて圧倒的に短いため、長時間麻酔でも安定した催眠鎮静作用を維持し,速やかに覚醒させることができる.
6.フルマゼニル(アネキセート®)という拮抗薬がある。
7.水溶性薬剤なので血管痛や発赤が生じにくい
8.ミダゾラム(ドルミカム®)と比べCYPの影響を受けないので相互作用が少ない。
作用機序
レミマゾラムは、GABAA受容体のベンゾジアゼピン結合部位を介して、主要な抑制性神経伝達物質であるGABAのGABAA受容体への結合を促進させることで鎮静作用を示すと考えられています。
※GABA受容体はAとBに大別され、アネレムはA受容体に作用します。
用法・用量
使用量 | 注意点 | |
導入 | 12mg/kg/時
意識消失が得られるまで静脈内へ持続注入する。 |
呼吸抑制、低血圧、徐脈の出現に注意 |
維持 | 1mg/kg/時 | ・上限:2 mg/kg/時 ・覚醒徴候が認められた場合は、最大0.2mg/kgを静脈内急速投与(30 mg/kg/時を超えない)が出来る |
希釈時の注意事項
・希釈する時は、生理食塩液を使用すること。乳酸リンゲル液に完全には溶解せず沈殿するため、溶解液に使用できない。
・溶解後は24時間以内に使用すること。
・pH4以上の場合に溶解度が低くなるため、アルカリ性注射液での溶解は避けること
禁忌
1.本剤の成分に過敏症の既往歴
2.急性閉塞隅角緑内障[抗コリン作用により眼圧が上昇し、症状を悪化させることがある。]
3.重症筋無力症[筋弛緩作用により症状を悪化させることがある。]
4.ショックの患者、昏睡の患者、バイタルサインの抑制がみられる急性アルコール中毒の患者
[呼吸抑制、低血圧を増強させることがある。]
副作用
アネレム特有の副作用はなく、一般的な麻酔薬と同様の副作用に注意が必要です。
・低血圧(26%)、徐脈(4.7%)
・頭痛、悪心・嘔吐、悪寒、紅斑(1〜10%の頻度)
・せん妄、ジスキネジー、第二度房室ブロック、心室性期外収縮など(左記、1%未満)
・呼吸抑制、覚醒遅延、依存性(頻度不明)
長所
1.循環動態の安定(血圧低下が少ない)
2.肝臓のカルボキシルエステラーゼによって速やかに加水分解され代謝される
3.レミフェンタニルと同様に組織エステラーゼで分解され、代謝産物には活性がない
4.血管痛がほとんどない
5.プロポフォール注入症候群(PRIS)の病態は報告されていない
6.長時間麻酔で覚醒が速やか(持続投与時の半減期延長をきたしにくい)
7.拮抗薬(フルマゼニル:アネキセート®)が使用可能
短所
1.新薬のため、使用経験が少ない。(2020年1月に世界で初めて日本で製造販売が承認されたため)
2.術後せん妄のリスクが不明
3.拮抗薬使用で、再鎮静のリスクが残る
4.PONV(術後悪心・嘔吐)の報告がある
5.BIS モニターでの麻酔深度評価に注意が必要(BIS データベースに含まれない)
6.単独ではいくら投与量を増やしてもBIS値が60以下にはならないBISを付けているがプロポフォールと比べると低振幅の脳波で数字もまちまち。適正な麻酔ができているのか判断が難しい。
7.TCI システム(投与薬物の薬物動態をシュミレートできるコンピュータを内蔵したシリンジポンプ)がない
いろんな資料やブログを読んでアネレムの感想
当院ではまだ使用していないのでどのように使用されているのかをいろいろ調べていました。
資料や部録などを読んでみて、麻酔導入は70秒程度で意識消失が消失し早く入眠され、血圧低下が少なく高リスク患者や高齢者の麻酔には良さそうです。半減期は早いとされていますが、抜管時に開眼までは早いがプロポフォールのようにスッと目覚はさめず、抜管後も眠気は残るようです。新しい薬なのでまだ分からないことは多そうですが、興味深い薬だと思いました。
参考文献
- アネレム静注用50mg添付文書
- レミマゾラム 日臨麻会誌Vo134 No.7, 860~866, 2014
- 麻酔 どう使う? 何が変わる? 新しい静脈麻酔薬レミマゾラム (アネレム(R)) オペナーシング 35(11): 1192-1196, 2020
転職を考えている人は・・・
看護師の転職サポート マイナビ看護師 転職サイトがオススメです。
転職がハードルが高くて職場の人には相談しにくいと思う人は、転職サイトに登録して転職のプロに相談してみるのも転職の手段になります。
数ある転職サイトの中で、一番評判がいいのは看護師の転職サポート マイナビ看護師 です。
マイナビ看護師は、「マイナビ」「マイナビ転職」でおなじみの 株式会社マイナビが運営する看護師の方のための転職・就職支援サービスです。 全国各都道府県の求人をカバーし、多くの好条件求人を取り扱い、 満足度に徹底的にこだわったサービスを展開しています。
1.医療系転職支援サービスのプロがサポートするから安心です。
2.実際のトコロを良く知っている! 医療機関に直接足を運び、現場で働く看護師さんから、給与、有給消化などの条件、待遇、雰囲気を聞き取りを行っています。
3.日本全国にオフィスを展開し、病院、クリニック、訪問看護、介護施設など豊富な求人のラインナップを有しています
コメント