みなさんの病院は、令和4年度診療報酬改定で新設された「術後疼痛管理チーム加算」に対して加算が取れるように活動されていますか?当院は5年前から周術期管理チームで活動していますが院内で上手く活動することが出来ず、ここ最近は活動が低迷していました。そこに術後疼痛管理チーム加算が取れるようになったとのことで、周術期管理チームが再び息を吹き返し加算が取れるように術後疼痛管理の導入に日々奮闘しています。そこで、今まで学習してきたこと、申請までに必要な要件や、活動、手続きなどをまとめてみようと思います。同じように活動されている方の参考になったり、お互いの情報を交換できたら嬉しいです。
まずは、要件を確認!!
算定対象
・全身麻酔後で硬膜外麻酔や神経ブロックで局所麻酔薬の持続注入をしている患者さん
・全身麻酔後で麻薬持続静注(IV-PCAなど)をしている患者さん
※覚醒下の者に限られるため、術後に挿管や鎮静管理されている患者は対象外になります。
※マスク又は気管内挿管による麻酔機で麻酔を受けた患者のため、無痛分娩や脊髄くも膜下硬膜外併用麻酔は算定できません。
・加算は術翌日から3日間まで可能(最大3000円)です。
私は、硬膜外麻酔のチューブを抜去後や、麻薬持続注入が終了した後は加算が取れないのかと思っていましたが、抜去後も疼痛管理を行っているので記録が残っていれば最大3日間まで算定可能だそうです。私が学習した病院では、年間4800件でおよそ500万円算定されているそうです。
チームメンバー
- 専任の麻酔科医(必須)
- 専任の看護師(必須)
- 専任の薬剤師(必須)
- 臨床工学技士:含まれると望ましい(もしかしたら将来的には必須になるのかもしれないけど今は必須ではない)
メンバーの要件
・専任看護師は、年間200件以上麻酔管理症例のある病院で、手術室や周術期管理センターで2年以上の勤務経験があること。
・専任薬剤師は、薬剤師としての勤務経験が5年以上で、うち2年以上が周術期関連の勤務経験があること。
・看護師、薬剤師、臨床工学技師は術後疼痛管理にかかわる研修を修了していること!
この術後疼痛管理にかかわる研修というのが、薬剤師は日本麻酔科学会の「術後疼痛管理研修」のみです。看護師はいろいろとあります。以下期間とコストを表にしました。
取得期間 | コスト | |
①認定看護師 「手術看護」 |
約1年 | 既に取得している人は追加コストなし |
②特定行為看護師 「術後疼痛管理関連」 「外科術後病棟管理領域」 「術中麻酔管理領域」 「外科系基本領域」 |
約1年 | 既に取得している人は追加コストなし |
③術後疼痛管理研修 周術期管理チーム認定なし |
頑張れば最短1ヶ月くらい | 15万円!(1講義5,000円×26講義) |
④術後疼痛管理研修 周術期管理チーム認定あり |
頑張れば最短1ヶ月くらい | 2万6千円(1講義1,000円×26講義) |
私は、術後疼痛管理研修をを終了しました。周術期管理チーム認定があれば1講義1,000円でお安いですが、持っていない場合1講義5,000円で高いです!!26講義で講義後にテストがあります。実習のある科目があるのがあるんですが、麻酔科医師と時間を合わせて行うのが大変んでした。そのため自分でe-ラーニングを進めるのはすぐできますが、実習を終了させるのに時間がかかり結局8か月かかりました。画像がうまくのせれなかったですが、下の表が26講義の内容です。26講義中8講義に実習があります。(赤い部分が実習のある講義です。)
申請に必要な対応
疼痛・副作用対策などのプロトコールをつくり、管理・評価の記録をする
・プロトコールの作成
・回診
・記録の方法
当院は現在この項目を構築中です。
プロトコールの作成
もともとクリニカルパスが統一されていたり、疼痛管理の指示が科できまっていたりすると新たに作成する必要はないと思いますが、当院は科によって違ったり、疼痛指示だけで看護師が選んで使用するという方法で、マルチモーダル鎮痛を考慮した方法ではありません。そのため、この作成に一番難渋しています。
マルチモーダル鎮痛については下記の動画参照してください。
回診について
必要に応じて該当患者の診療を行う医師及び術後疼痛管理チーム以外の医師、看護師等と連携対応すること
専任者が必ず回診する必要はないようです。何らかの形で術後の管理しています。記録があります。というのがあれば大丈夫だそうです。
基本クリニカルパスで動いてもらい、困ったときにコンサルという方法でも記録が残っていれば回診は必須ではないそうです。
日々の疼痛管理の評価を病棟看護師にお願いして記録してもらい、その記録をカルテ診する方法をとっている病院もあるようです。
また、24時間専任者が対応することが必須ではないようです。担当医、当直医と連携出来ていれば大丈夫だそうです。
記録の方法
・病棟の看護師さんが疼痛の状態を記入するテンプレートの作成
・回診の記録用のテンプレートの作成
テンプレートの方がいろんな面でいいのですが、作成するのにいろんな事情が絡み合い意外と難しくて難渋しています。でも記入する人も管理する人もコストをとる人もテンプレートがいいので現在話し合い中です。
疼痛管理チーム部門を病院組織図に組み入れる
算定がつくまではなかなか組織図に入れてもらえないんですが、算定がつくとなると秒で動いてくれます!!周術期管理チームは何年間も言い続けても組織図に入れてもらえなかったんです・・・
患者に対する必要な情報を提供する
院内にポスター掲示をしたり、周知文書の配布を行います。
・院内のポスターは術後に疼痛管理チームが関わりますよ!という内容を分かりやすく作成する。
・配布文章は、説明書を配布します。入院計画診療書などとは違い現段階では署名は必要はありません。ポスター貼っています。文章を作成して説明しています。というのを示すことが出来たら申請には大丈夫だそうです。
当院は、済生会横浜市東部病院を参考にさせてもらっています。ダウンロードして使用してOKとのことなので、お言葉に甘えてダウンロードして病院名などを変えて作成しています。
済生会横浜市東部病院のダウンロードできるページです!こちら
術後疼痛管理どのように開始する?
術後疼痛の算定に名乗りを上げている施設数は?医療介護情報局のデータで確認することができます。医療介護情報局によると現在の登録施設は188件になっています。(2023年5月現在)
思っているよりも少ない気がするのは私だけでしょうか?
今は当院のように今頑張って準備している施設が多いのかな?と思っています。
当院は婦人科から開始する予定です。すべての診療科で開始するのは大変なので、まずは医師とコミュニケーションがとりやすいということで決まりました。今年度中に申請できたらいいなと思っていますが、まだまだやるべきことが多くて難しそうです。
コメント