麻薬で表記される㎍ってどのくらいの量?

手術看護基礎知識

麻酔記録で記載されている薬剤の㎍(マイクログラム)ってどのくらいの量なのかすぐにピンときますか?

私は非常に苦手です。基本的に数学も数字も単位も苦手です。

麻薬の管理は重要なお仕事です。麻薬の使用量と残量を確認しないといけませんが、㎍で表記されていると何ml使ってるの?この残量で合っているかを確認するのに慣れるまで苦労していました。

そこでフェンタニルの換算表を作成して確認していました。

そもそも㎍(マイクログラム)ってなに?

「㎍」は「mg」の1000分の1の重さになります。微量な量になります。

作用が強い物質に「㎍(マイクログラム)」や「ng(ナノグラム)」が使用されるようになります。

重さの変換図

手術室でよく使用する麻薬のフェンタニル換算表

 


 

 

投与量 50kgの人の場合で計算

【前提】
フェンタニル注射液の濃度:50μg/mL
(0.1mg/2mL製剤 または 0.5mg/10mL製剤を使用した場合)

●麻酔導入時●
投与範囲:1.5〜8μg/kg

・1.5μg × 50kg = 75μg = 1.5mL
・8μg × 50kg = 400μg = 8mL

※臨床では2〜4μg/kgがよく用いられますが、添付文書の正式な範囲は1.5〜8μg/kgです。

●麻酔維持●

【間欠投与】
25〜50μg(0.5〜1mL)ずつ静注
※体重による換算ではなく固定量で投与する。

【持続投与】
0.5〜5μg/kg/h
・0.5μg × 50kg = 25μg/h = 0.5mL/h
・5μg × 50kg = 250μg/h = 5mL/h

●局所麻酔の補助鎮痛●
投与範囲:1〜3μg/kg を静注

・1μg × 50kg = 50μg = 1mL
・3μg × 50kg = 150μg = 3mL

患者の年齢・全身状態・疼痛の程度に応じて適宜増減します。

手術室でよく使用する麻薬レミフェンタニル

シリンジポンプの設定値(mL/h)

  • 麻酔導入(0.5 μg/kg/分):15 mL/h
  • 麻酔維持(0.25 μg/kg/分):7.5 mL/h

※体重 50 kg の場合

なぜこの設定値になるのか?(解説ステップ)

シリンジポンプの設定単位は mL/h です。

計算のゴールは「mL/h」への変換になります。

今回の調製濃度:100 μg/mL(アルチバ 2 mg バイアルを 20 mL に溶解)

ステップ 1:1 分間に必要な量(μg/分)を求める

指示量 × 体重

  • 【導入】0.5 μg × 50 kg = 25 μg/分
  • 【維持】0.25 μg × 50 kg = 12.5 μg/分

ステップ 2:1 時間あたりの量(μg/時)に変換する

ステップ 1 の値 × 60 分

  • 【導入】25 μg/分 × 60 分 = 1,500 μg/時
  • 【維持】12.5 μg/分 × 60 分 = 750 μg/時

ステップ 3:mL/h に変換する

ステップ 2 の値 ÷ 100 μg/mL(調製濃度)

  • 【導入】1,500 μg ÷ 100 μg/mL = 15 mL/h
  • 【維持】750 μg ÷ 100 μg/mL = 7.5 mL/h

💡 臨床で使える計算ショートカット

3 ステップの計算をまとめると「体重 × 投与速度 × 60 ÷ 100」になります。100 μg/mL 調製時に限り、以下の係数を使って一発で求められます。

  • 麻酔導入(0.5 μg/kg/分):体重 × 0.3 = mL/h 例:50 kg × 0.3 = 15 mL/h
  • 麻酔維持(0.25 μg/kg/分):体重 × 0.15 = mL/h 例:50 kg × 0.15 = 7.5 mL/h

⚠️ この係数は調製濃度 100 μg/mL 専用です。施設によっては 50 μg/mL など異なる濃度で調製する場合があります。使用前に必ず自施設の調製濃度を確認してください。


根拠:アルチバ静注用添付文書(2024 年 6 月改訂)/用法用量 0.5・0.25 μg/kg/分、調製濃度 100 μg/mL(20〜250 μg/mL)

 

💡 臨床でのワンポイント

添付文書の投与範囲はあくまでも「基準」です。
実際の投与量は、麻酔科医師の経験と好みによって大きく異なります。

【医師によって異なる例】
・フェンタニルとレミフェンタニルを併用する医師  vs. どちらか一方を単独で使用する医師
・鎮静多め・鎮痛少なめで管理する医師  vs. 鎮静少なめ・鎮痛多めで管理する医師

これはどちらが正解というわけではなく、 バランス麻酔の考え方の中で、 それぞれの医師が経験を積み重ねてたどり着いたスタイルです。

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