ケイセントラ®(乾燥濃縮人プロトロンビン複合体:PCC)どんな薬?

ストラクチャー

ウォッチマンの治療が開始されるまで、ケイセントラ®の存在を知りませんでした。手術室にはケイツーNしか置いていません。投与しても約3時間を経て効果が表れるので時間のかかる薬という印象で、緊急手術の時にワルファリン内服の患者さんへ拮抗させてから手術出しになるのですぐには手術ができないという印象しかありませんでした。ケイセントラ®は救急室に置いてあるようです。ケイセントラとはどのようなお薬なのか?疑問に思ったのでまとめました。

ケイセントラとは?

2017年9月19日CSLCSLベーリング株式会社から販売された新しいお薬です。
ケイセントラ®は、ヒト血漿を分画して製造した、ビタミンK依存性血液凝固第Ⅱ、第Ⅶ、第Ⅸおよび第Ⅹ因子、並びにプロテインCおよびプロテインSからなる、乾燥濃縮人プロトロンビン複合体(PCC:Prothrombin Complex Concentrate)で、ビタミンK拮抗薬(ワルファリン等)療法時の出血傾向を抑制します
ワルファリン等のビタミンK拮抗薬療法時の出血傾向を抑えるプロトロンビン複合体製剤の発売は日本で初めてです。
ワルファリンを服用している患者さんでは、重篤出血時や出血が予測される手術などの際の出血の管理が重要となります。これま では、ワルファリンの休薬やビタミンKの投与といった対応がとられてきましたが、血液の凝固能が正常化するまでに半日以上を要していました。ケイセントラ投与開始後1時間まで54%はPT-INRが是正(PT-INRが1.3以下)されるというデーターがあります。

成分

CSL Behringホームページより引用

適応

① ビタミンK拮抗薬(ワーファリン®など)を服用している。
② 急性重篤出血または、重大な出血が予測される緊急を要する手術・処置を施行する。
両方の条件に満たす人

禁忌

・播種性血管内凝固(DIC)状態の患者

投与量と投与速度

イセントラ投与においては、適切な投与量および投与速度を設定すること重要です。CSL Behringホームページには、以下のようなシミュレーターがあります。
患者さんの「PT-INR」と「体重」から、「必要用量」「必要溶液量」「最大流量設定」「最短投与時間」を算出することができます。

https://csl-info.com/kcentra/howto/#howto-anc02
参考情報:ケイセントラの総投与平均値は90.3ml、投与時間平均値は21.2分

 

 ケイセントラ「プロトロンビン複合体製剤」の作用機序

血液が固まるには、複数の「凝固因子」と呼ばれるものが必要で、その中にはビタミンKの働きによって作られるものがいくつかあります。ビタミンKの作用により肝臓で産生される4つの血液凝固因子は、血液凝固第II、第VII、第IXおよび第X因子です。ビタミンK拮抗薬は、ビタミンKのはたらきを抑え、これらを作ることができない状態にすることで、血液を固まりにくくしています。ケイセントラは、ビタミンK拮抗薬によって作ることができなくなっている凝固因子そのものを補充することで、血液が固まることができる状態にもどして、出血が正常に止まるようにします。

CSL Behringホームページより引用

ケイセントラが発売されるまではどのような治療をしていたか?

・緊急手術でワーファリン内服中の患者さんには、ビタミンKを5~30mgの静脈投与を行いますが、PT-INRの低下には、12~24時間を要します。
そのため、FFP(新鮮凍結血漿)を800㎖~1000㎖の投与で約2時間を要します。
・ビタミンK25mg以上投与された症例では、術後のワルファリンの効果が減弱します。
・プロトロンビン複合体製剤(PCC)は、新鮮凍結血漿(FFP)よりも迅速に投与可能で効果も早く出る、ボリュームが少量、輸血よりも感染リスクなどが少ないなどの理由で推奨とされています。

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