心筋保護液注入ルート
- 心筋保護用ルートカニューレ
- 冠動脈管カニューレ
- 心筋保護用レトロカニューレ
心筋保護用ルートカニューレ(順行性心筋保護)

・大動脈基部に挿入した大動脈ルート・カニューレから心筋保護液を注入する方法です。
・大動脈弁逆流がある場合は、心筋保護液は左心室内に落ち込んでしまうため十分な心筋保護が行えないです。
・注入を開始したら、大動脈基部の張りを確認することで大動脈閉鎖不全の有無を確認します。
1分以内に心停止が得れない場合には以下の事が考えられます。
① 不完全な大動脈遮断の可能性
② 大動脈弁逆流(AR)が生じている可能性
③ 心筋保護液にKが不足している可能性

大動脈クランプで上行大動脈をクランプし、クランプ鉗子より上にある送血管は全身に血液を送血し、心臓には血液が流れないようになります。
クランプ鉗子より下にある心筋保護用ルートカニューレは心臓の方へ流れ左右の冠動脈へ流れるようになります。
高度に大動脈逆流がある場合は、大動脈弁がしっかり閉じないため左室の方で心筋保護液が流れていくため心停止が得られなくなります。
冠動脈管カニューレ(選択的心筋保護注入)
・大動脈逆流がある場合、大動脈切開後に直接冠動脈口から専用のカニューレを用いて心筋保護液を注入する方法です。
・先端が135度に曲がったもの:左冠動脈 → 6割を注入
・先端が90度に曲がったもの :右冠動脈 → 4割を注入
心筋保護用レトロカニューレ (逆行性管灌流法)

・右心房から冠動脈洞に挿入し、逆行性に心筋保護液を注入する方法です。
・順行性投与では冠動脈狭窄や閉塞がある場合に灌流できません。順行性と逆行性で投与することによりその弱点を補うことが出来ます。

・解剖学的問題:冠血流の70%程度しか冠動脈洞に灌流しません。冠静脈からでは注入分の3~5割はテベシウス静脈から心室内に流れ出て毛細血管に到達しません。また、右冠静脈は冠静脈洞付近に開口するため逆行性灌流用カニューレにより閉塞しやすいです。したがって右心系(下壁、下中隔、右室自由壁)の低灌流が指摘されています。
・逆行性心筋保護法は単独使用ではなく、順行性投与の補助的使用とすることで安全な心筋保護が実践できると考えられています。
・注入量は初回、追加ともに順行性の1.3~1.5倍が必要になります。
・注入時の先端圧は15~25mmhg程度を目標にします。
人工心肺 完全ガイド【手術室看護師のための基礎〜実践】
〜 1記事ずつ疑問を解決 → 全体像を把握 → 現場で自信を持って動ける 〜
「人工心肺って何をしているのか、なんとなくは分かるけど自信がない…」
そんな手術室看護師のために、人工心肺の基礎から実践まで体系的にまとめました。
気になるテーマの記事から読み始めて、最終的に全体像を把握することを目指しましょう。
以下の6ステップで学べます。各テーマのリンクから詳細記事に飛べます。
STEP 1|人工心肺とは何か
心臓手術中、心臓を止めて手術するために「心臓と肺の代わり」をするのが人工心肺です。血液を体外に取り出し、酸素化して体に戻す機械です。初めて心臓手術に入る前に、まずここから理解しましょう。
STEP 2|送血と脱血の基本(カニューレの挿入部位)
人工心肺を回すには、体から血液を「脱血」して機械に通し、再び「送血」する必要があります。どこから脱血してどこに送血するか——部位の選択は術式や患者の状態によって変わります。
STEP 3|ベント・CO2カニューレの役割
手術中になぜ左心室にベントを入れるのか、なぜ術野にCO2を流すのか——理由を知っていると、器械出し中も術者の意図が読めます。
STEP 4|心筋保護の基礎
心停止中に心筋を傷めないための「心筋保護液」。注入ルートの違い(順行性・逆行性)や保護液の種類まで解説しています。施設によって方法が異なるため、自施設のやり方と照らし合わせながら読んでください。
STEP 5|人工心肺の実際の流れ
カニュレーション開始から人工心肺離脱までの一連の流れを解説。術中に臨床工学技士や医師が話している「流量」「圧」「ACT」などの会話の意味が分かるようになります。
STEP 6|人工心肺中の循環・血液管理と合併症
人工心肺中のモニター基準値・輸血の判断・溶血による合併症(ヘモグロビン尿)まで学べます。手術後の申し送りや術後観察に活かせる知識です。
📖 参考|もっと深く学びたい方へのオススメ本


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